映画HELLO WORLDのスピンオフ小説『HELLO WORLD if-勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする-』のストーリーを解説付きで分かりやすく丁寧に説明します!
ストーリー紹介
まずは前提として、簡単なストーリー紹介をしようと思います。
本小説は、映画『HELLO WORLD』で登場した勘解由小路三鈴(かでのこうじみすず)に視点を当てた物語です。
内容は映画本編と同じで「2037年のナオミが2027年の直実に接触し、最終的に2047年のナオミが救われるまで(映画ラストシーン)」ですが、視点が三鈴視点です。三鈴は、堅書直実(かたがきなおみ)と一行瑠璃(いちぎょうるり)の恋の手助けをします。
ですが、映画本編の世界とは直接的な関りはなく、タイトルにも「if(もしも)」とあるように、“もしかしたらこんな世界があったかも”っていうストーリーで、本小説の世界は映画本編の世界のパラレルワールドという捉え方をしたらよいと思います。
第一話 未来に捕まる日
三鈴は変わりたい
中学3年の三鈴は高校入試の面接を模範的で完璧な受け答えでこなす。だがしかしそれは裏を返せば、面白みのない個性のない受け答え。三鈴は、大人しく、周りの目を気にして良い子を演じる、個性のない自分が嫌で“変えたい”と思っている。
その面接の帰り道、泣いている同級生を見かける。彼女は面接で自分の思いをありのまま話して大失敗したようだ。しかし三鈴は、そんな個性的で自分を持っている彼女を見て羨ましいと思う。そしてその同級生を慰めるその子の彼氏を目にする。その彼氏は三鈴がひそかに思いを寄せていた男子だった。その瞬間、三鈴は本小説内で1回目の失恋をする。
20年後のミスズが現れる
三鈴の前に20年後の自分(ミスズ)が現れる。(20年後のミスズはカタカナ表記にします)ミスズは自分を持っており、自分の思いをはきはきと伝えられる、今の三鈴の理想の姿だった。
ミスズは20年後の2047年の世界から、三鈴のいる2027年の世界にダイブしており、データが重いと動きにくいため、通常は白い子狐の姿でいます。人間の姿にもなれます。
ミスズの目的は、おおざっぱに言うと「一行瑠璃と堅書直実の恋の手伝いをすること」。具体的には、10年後から来るナオミが夏祭りで落雷事故にあう瑠璃を救うが(映画本編同様)、ナオミが何度もダイブに失敗したことにより“ナオミの幻影”が2027年の世界にたくさん・・ざっと300体程存在してしまっているので、三鈴と協力しこの幻影を消すことがミスズの目的である。
幻影は特に悪さをすることはないが、ナオミが10年後からダイブする際に座標の特定の妨げになるので消しておく必要がある。
ミスズは三鈴に以上の話を告げると、三鈴は“自分を変える手伝いをする事”を条件にミスズの目的を手伝うことを約束する。
幻影消し
三鈴はミスズの要望で半強制的に魔法少女赤ずきんちゃんコスチュームに着替えさせられ、幻影消しを行う。三鈴はミスズから力を授かり、空を飛べるようになる。幻影は魔法のステッキで触れるだけで消せるが、数が多いのと見つけるのに苦労するのが大変だ。高校入試後の春休み、三鈴は休みなく幻影消しを続けた。
第二話 物語が始まる
高校生活の始まり
春休みの間ずっとミスズと一緒に行動していた三鈴は、だいぶ“自分を変える事”に成功しており、高校入学後 新しいクラスで友達を作り、クラスメイトからも慕われる存在になっていた。
また瑠璃とも、三鈴の入学初日からの猛アタックにより、友達になることができた。
第三話 直実とナオミ
ナオミのダイブ成功
三鈴の幻影消しのおかげもあり、ナオミは2037年の世界から2027年の世界へのダイブに成功した。(映画『HELLO WORLD』同様伏見稲荷神社で)
三鈴とミスズの関係は、ナオミが無事にダイブするための幻影消しで繋がっていた。ナオミが無事にダイブに成功した今、三鈴はミスズとお別れしなければいけないと思い悲しむが、ミスズの「仕事変更!ナオミが直実と瑠璃をちゃんと恋人関係にできるか見守りましょ!」という言葉を聞き、まだミスズと一緒にいられることに安心する。
見守る
三鈴とミスズは、直実の山奥でのグッドデザインの朝練を見守る。(ナオミに見つからないように・・・。気づかれたら警戒され、ナオミの集中力が分散し、直実に割ける時間が変わってくるので。)
三鈴は、三鈴&直実&瑠璃の3人でランチ行こうと誘ったりと、ナオミにバレないように、三鈴なりに直実と瑠璃の仲を近づけるよう努力する。
第四話 痛み
胸の痛み
図書整理中、直実が、脚立の上でバランスを崩した瑠璃を助ける。(映画本編でもあったシーン)三鈴はこれを見て、2人の恋が上手くいって嬉しい反面、瑠璃に嫉妬し胸が痛くなる。
直実、瑠璃、三鈴が所属する図書委員は、コスプレ古本市のための準備を進める。前日にせっかく集めた本が燃やされるが、直実がグッドデザインを使って徹夜で本を修復し、古本市は無事成功を収める。(映画本編でもあったシーン)
古本市後、直実は瑠璃に告白し、瑠璃はそれを受け入れ2人は恋人関係になる。三鈴はこれを見てまた胸が痛くなった、ここで三鈴は自分が直実を好きになっていたことに気づく。
第五話 リセット
夏祭り
瑠璃が落雷事故にあう予定だった夏祭りで、直実はグッドデザインを使ってブラックホールを生成し、瑠璃を落雷から守る。(映画同様)
その後ナオミは瑠璃を2037年の世界に連れ去る。(瑠璃の同調した精神を使って2037年の脳死状態の瑠璃を救う)(映画同様)
ナオミが瑠璃を連れ去るとき、三鈴はナオミを止めに行ったが、瑠璃の檻を掴んだ手は振りほどかれてしまう。
しかしここで、三鈴は今の自分の動作は“本当に全力だったか”と疑う。瑠璃がいなくなればこの世界で直実と2人きりになれるので。。。三鈴はこの考えに行きつき自分を嫌悪し発狂する。
ミスズから真実を伝えられる
三鈴は、ミスズから以下の真実を伝えられる。
・今は2047年であること
・この世界は無限の記憶容量を持つ記憶装置アルタラ内の世界であること
(正確には2047年のアルタラ内の2037年の世界のアルタラ内の2027年。2重構造。夢中夢。映画本編同様です。)
・2047年ではナオミが脳死状態であり、直実を救うためにミスズは2047年の世界から2027年の世界に来たこと。
(具体的には、瑠璃を取り戻すという執念に取りつかれ、狂気の瀬戸際で壊れたナオミの心を治すことにより、精神を同調し2047年の脳死状態のナオミを救いに来た)
・今までも何度も失敗し、今回も今までと同様「ナオミが瑠璃を連れ去る」結果に終わったこと。
(せっかく成功したダイブで絶対に失敗できないというナオミの追い詰められた精神状態を、バレないように直実と瑠璃の仲を近づける手伝いをすることによって、少しでも心に余裕を持ってもらい、ナオミの壊れた心を取り戻す作戦だった。
・今まで失敗してきたときと同様に、ミスズは今この世界をリセットしようとしていること。
三鈴はその事実に理解が追い付いていない状態だったが、ここで2047年でオペレートしているルリから「この先に進んでみよう!」という言葉が発せられる。
この先に進むとは“瑠璃を連れ去ったナオミを2037年の世界まで追いかけること”。この先に進むとデータが根本から壊れる危険性があり、今まではナオミが瑠璃を連れ去った時点で世界をリセットしていた。
ルリとミスズは、三鈴と協力し、この先に進むことを決める。(ナオミを追って2037年の世界へ行く)
第六話 世界に一人しかいないあなた
ナオミと三鈴の会話
ミスズと三鈴は、ナオミが通った道を通り、2037年の世界へ乗り込む。(先ほども書きましたが、この2037年の世界も2047年のアルタラ内のデータの世界です)
三鈴はナオミと瑠璃のいる病室へ向かう。この時ミスズは直実&瑠璃の脱出の準備。
三鈴が病室に着いたとき、直実がナオミから瑠璃を取り戻した後だった。うなだれていたナオミは三鈴と話すことにより、活力を取り戻し、瑠璃と直実をこの世界から脱出させる手伝いをすることを決める。
このときこの世界では、2027年から来た瑠璃と2037年の瑠璃が重複してしまっており、狐面(自動修復システム)は瑠璃を消そうとしている。
直実と瑠璃の救出
ナオミと美鈴は、狐面に追われる直実と瑠璃を助ける。
そして、瑠璃と直実を2027年の世界へと返した。(しかし、実際は2人は新世界-もう一つの現実へと行った。)
新世界が誕生した理由はこうです。アルタラが情報を際限なく増幅させて、本来有限であるはずの宇宙に無限という概念を突き付けてしまったから。宇宙に収まりきらなくなったアルタラ内2027年の世界はもう一つの現実として独立した。
ナオミの精神同調
直実と瑠璃は無事に返せたが、その直前 狐面(自動修復プログラム)が直実を襲い、直実はその攻撃をかわしたが、その時に砕けた大階段の破片が三鈴が付けていた狐のお面を割った。(このお面を付けていたことにより、三鈴は自動修復プログラムから襲われなかった)
三鈴のお面が割れたことで、三鈴は狐面(自動修復プログラム)の標的となり、一斉攻撃を受ける。ナオミはそれをかばい、全攻撃をその身に受けた。この人のために動いた行動によりナオミは“優しさ”を取り戻し、壊れていた心が修復され、精神が2047年の脳死状態のナオミのものと同調した。これにより、2047年の脳死状態のナオミが復活し、ついにナオミとルリが再会を果たす。
ミスズとの別れ
三鈴は直実と瑠璃が行った新世界へ、ミスズは2047年の世界へ帰るため、2人はここで別れなければいけない。三鈴は物凄く悲しんだが、そんな三鈴にミスズは、
「大丈夫。二十年後、鏡越しに微笑んで。そこでまた会いましょう。」
というロマンチックな言葉をかける。
2人はもう一度深く抱き合ってお別れした。
エピローグ
三鈴は新世界に来ていた。今までいたデータの世界と違って現実世界は、ものを触る感触に“確かさ”が感じられた。
直美と瑠璃はこの新しく生まれ変わった世界で恋をする。それすなわち、三鈴は世界が新しく生まれ変わった瞬間に失恋した。
でもそれに今までのような痛みや悲しみはなく、どこかすがすがしいものだった。
以上で終わりです!本記事ではストーリーの本筋のみを追って説明しましたが、この小説は 本記事では説明していない 細かな心情表現が物凄いんです。ストーリーのみでも十分に面白い作品ですが、そこに細かな心情や空気感を感じられる小説はもっともっと面白いです。感動します。間違いなくストーリーを知った上でも楽しめる小説ですので、是非お手に取って読んでみて下さい♪最後までお読み頂きありがとうございました!
